葬儀社のアシスタントのアルバイトをした事があります。不謹慎かもしれませんが、やはり見ず知らずの方のご遺体というのは、あまり気持ちの良いものではありません。
ですが仕事ですから、ご遺族や参列者の前で、いかにも不快な表情はできず、常にポーカーフェイスでご遺体にも向き合わなければなりません。
一番、辛かったのは棺に花を入れて、いよいよ蓋を閉める前です。
ご遺体の顔の周りにお花の花びらが乗ってしまっていたり、葉が落ちていたりすると、それを取り除かなければなりません。
もちろん「素手」です。できるだけご遺体のお顔を見ないように淡々と仕事はしました。
ですが、あるご遺体の唇に花の「花粉」が、なかなか大量に付着していた時があり、見て見ぬふりをしようとしたのですが、先輩のアルバイトから「お顔周りを拭いてあげて」と。
「…何で拭けば良いですか?」「ハンカチ持ってないの!?」と言われ、自分のポケットからハンカチを出してご遺体の唇周りを拭かせて頂きました。
世のため人のためになるお仕事だとは思いますが、当日「辞めます」と申し出て退職しました。